「FUKUOKA UNESCO」36号

2000年12月31日
「FUKUOKA UNESCO」36号 2000年刊行 B5版163頁 1,300円(送料込)

  • 〈特集〉 第10回日本研究国際セミナー’99
    「ドナルド・キーン教授と日本文学 ― 日本文学史の世界的展開 ―」

第10回日本研究国際セミナー’99

基調講演

“「日本文学史」と私”   ドナルド・キーン氏(米国/コロンビア大学名誉教授)

(内容紹介)
『日本文学史』を書く動機
日本へ行く前
『日本文学史』を書き出した頃を顧みて
比較文学的に書く

“「日本文藝史」と私”   小西甚一氏(筑波大学名誉教授)

(内容紹介)
キーン教授の「日本文学史」に驚く
「日本文藝史」を一人で書くこと
時代区分による叙述を

質疑応答

(質疑応答の内容紹介)
お二人を結びつけたもの
言語以外の難しさとは
選択の基準について
「山東京伝」について
太宰治について
古代から近代につながるもの
「文学史」と「文藝史」の違いは
日本文学と中国文学について
和歌の英訳
日本文学の普遍性とは

〈Aセッション〉

発表

“キーン教授と日本文学”  川本皓嗣氏(東京大学教授)

“文学史”の可能性について ― ドナルド・キーンを出発点として ― ”
イルメラ・日地谷・キルシュネライト氏(ドイツ/ドイツ日本研究所所長、ベルリン自由大学教授)

Aセッション討議 テーマ “D.キーン教授と日本文学”

議長 清水孝純氏(福岡大学教授)
発表者 川本皓嗣氏、イルメラ・日地谷・キルシュネライト氏
コメント ドナルド・キーン氏
(討議の内容紹介)
はじめに
コメント:日本文学を読む、書くことの楽しさ
文学批評の伝記的批評
荷風とソローについて
「日本文学史」の基本的モチーフとは
「文学史」のタイプの多様性について
現代の若者の仕事をどう評価
文藝史を書いた背景
日本古典文学の今日的状況
文学に対する感覚の差異
三つの質問に答えて
三島文学について
日本文学の美の特性とは
原点は文学を愛すること
文学へのアプローチの仕方

〈Bセッション〉

発表

“中世の女流日記 ― 「問はずがたり」を中心に ―”  
小田桐弘子氏(福岡女学院大学教授)

(内容紹介)
1. はじめに
2. 鎌倉時代の日記文学について
3. 「とはずがたり」の梗概
4. 「とはずがたり」の特徴 ― 客観的自己認識
5. 「とはずがたり」の読まれ方 ― 現代作家の受容
6. おわりに

“ドナルド・キーン先生と日本文学 ― 谷崎潤一郎を中心に ―” 
ポール・マッカーシー 氏(米国/駿河台大学教授)

Bセッション討議 テーマ “古典・近代に見る「日本文学史」”

議長 菅原克子氏(東京工業大学助教授)
発表者 小田桐弘子氏、ポール・マッカーシー氏
コメント ドナルド・キーン氏、小西甚一氏
(討議の内容紹介)
はじめに
コメント:日本文学のおもしろさ(キーン氏)
コメント:「とはずがたり」のモデルについて(小西氏)
「とはずがたり」を出発点として
作品を客観的、主観的に見ることについて
「源氏物語」について
「蜻蛉日記」の場合
「とはずがたり」私見
女性の声が強い日本文学
「とはずがたり」補足
日本の「日記文学」
谷崎をめぐって

〈Cセッション〉

発表

“ロシアにおけるドナルド・キーン学派の日本学” 
アレクサンドル・ドーリン氏(ロシア/東京外国語大学教授)

(内容紹介)
鎖国ソ連邦の日本学
雪解け時代の日本学:西側からの風
キーン先生のロシア旅行・自由のメッセージ
キーン博士ファンの同人会・著書の翻訳
キーン・ブーム
成功の秘密
ロシアのキーン学派とは

“ドナルド・キーン著「日本文学史」近世篇を読む” 劉 岸偉氏(中国/東京工業大学助教授)

(内容紹介)
1. 個人の作品としての文学史
2. 「日本文学史」近世篇を読む
儒者の文章
松尾芭蕉の文学について
蕪村と一茶
上田秋成の作品
人情本と滑稽本
滝沢馬琴について

Cセッション討議  テーマ “世界における「日本文学史」” 

議長 川本皓嗣氏(東京大学教授)
発表者 アレクサンドル・ドーリン氏、劉 岸偉氏
(討議の内容紹介)
はじめに
中国での「日本文学史」の翻訳を大賛成
ロシアで愛読されている日本文学
日本文学のテキストについて
日本文学をめぐるソ連時代
状況が変わった中国文学界
キーン先生からの謝辞

福岡ユネスコ協会編 『世界が読む日本の近代文学』(丸善ブックス)全三巻出版記念

― 講演とシンポジウム ―

第1部 講演:海外における日本文学の受容

 “ドイツにおける日本文学の受容” ニコラ・リスクティン氏(ドイツ/ドイツ日本研究所研究員)

“中国人の目から見た明治・大正期の文学” 劉 岸偉氏(中国/東京工業大学助教授)

(内容紹介)
1. 漱石の日記
2. 低徊趣味
3. 「クレイグ先生」と「藤野先生」
4. 「沈黙の塔」の翻訳
5. 透明な理智
6. 芥川の「支那遊記」について
7. 芥川の死と追悼特集
8. 文化の記憶

“日本文学の翻訳・解釈の新傾向 ― 石川淳の場合” 
ウィリアム・タイラー氏(米国/オハイオ州立大学准教授)

第2部 シンポジウム:「世界が読む日本の近代文学」をめぐって

司会 清水孝純氏
コメンテイター アハマド・M.F.モスタファ氏(エジプト/カイロ大学専任講師)
奥野政元氏(活水女子大学教授)
ディスカッサント 第1部講演者の3人
(シンポジウムの内容紹介)
自国の言葉へ 日本文学の翻訳とは
自国が何を必要としているか
日本近代文学の4回の国際セミナーを通じて
文学作品の価値とは
主流と支流について
アラブ世界の関心とは
中国における日本文学受容の基盤

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