「FUKUOKA UNESCO」38号

2002年12月31日
「FUKUOKA UNESCO」38号 2002年刊行 B5版134頁 1,300円(送料込)

  • 〈特集〉 第12回日本研究国際セミナー2001
    「 21世紀の世界と日本の課題」

第12回日本研究国際セミナー2001

基調講演

「人権の普遍性と伝統の間 ― 日本からの発信は?―」 樋口陽一氏(早稲田大学教授)

〈内容紹介〉
「発信」者でありうるために
「人権」というコトバで何を考えるか
「人権の欺瞞」に向けられてきた批判
4つの89年
日本近代の光と影
「人権」理念と文化多元主義の間の緊張
「西洋」の二つの顔と憲法9条

「失われた伝統の再生 ― 21世紀日本の市民社会の可能性 ―」
M. William Steele 氏(米国/国際基督教大学教授)

〈内容紹介〉
市民社会(シビル・ソサエティ)とは
4つの時点と日本の市民社会の歴史的再評価
A.横井小楠(1809-1869)幕末の公議政体論
B.明治中期の自由民権運動
C.インペリアル・デモクラシーと天皇機関説(1905-1938)
D.戦争直後の草の根デモクラシー

討議

議長 内川芳美氏(東京大学名誉教授)
討議参加 上記の講演者2名
コメント 加藤周一氏(評論家)
〈討議の内容紹介〉
はじめに
本当の「教科書問題」とは何か
日本的な骨格とは何か
儒学のもつ多面性について
儒教を考える
人権の普遍性を考える

Aセッション テーマ:ジャーナリズムと社会

発表

「日本のマスコミ ― 構造改革への最後の砦 ―」
Wieland Wagner 氏(ドイツ/『シュピーゲル』東アジア特派員)

〈内容紹介〉
1.はじめに
2.日本のマスコミの改革はなぜ必要なのか
1. マスコミの「失われた10年」
2. 日本の近代化の特殊性とマスコミのあり方 
3. 改革への取り組み
3.おわりに

「現代日本のナショナリズムとジャーナリズム」 原 寿雄氏(共同通信社元編集主幹)

〈内容紹介〉
1. ナショナリズムに弱い日本型ジャーナリズムの構造
2.戦後ナショナリズムの高揚を抑制してきたもの
3. 状況の変化とナショナリズムの新しい段階
4.ナショナリズムをめぐるジャーナリズムの対立・分裂
5.スポーツ報道とナショナリズム
6.今後の展望と課題

討議

議長 藤田博司氏(上智大学教授)
討議参加 上記のAセッション発表者2名
コメント 加藤周一氏(評論家)
〈内容紹介〉
日本ジャーナリズムの世界的役割とは
強大になったマスコミの力
民主主義社会のジャーナリズムの3つの役割
マスコミ改革への明るい材料とは
報道機関自身の情報公開を

Bセッション  テーマ:文化・比較文学をめぐって

発表

「東アジアの文化交流 ―漢文と俗語 ―」 
川本皓嗣氏(帝塚山学院大学教授、国際比較文学会会長)

〈内容紹介〉
はじめに
国際的文化比較の問題点
前近代日本の国際交流と翻訳
俗語の翻訳化について
翻訳書について
朝鮮の場合
文化の中心と周辺文化

「“あわい”を生きる ― 陶晶孫と郭沫若の九大留学時代」 厳 安生氏(北京外国語大学教授)

〈内容紹介〉
目立ってくる狭間
大正教養主義に育つ郭晶孫
中日間の風雲に飛立つ郭沫若
あわいに集まったり散ったりする人たち

討議

議長 清水孝純氏(九州大学名誉教授)
討議参加 上記のBセッション発表者2名
コメント 加藤周一氏(評論家)
総括 鶴見俊輔氏(評論家)
〈討議の内容紹介〉
はじめに
「国語」の問題を考える
陶晶孫と郭沫若の来日留学から
厳教授の発表を聞いて
漢文は国際交流を阻害したか
言語の生命について
漢文・漢字を考える
国際交流の草の根とは
中国に於ける古典の現在性
-総括- 私が感じたこと、思ったこと
自分の尻の上に座れ

福岡ユネスコ文芸講演会

「私と平安文学 ― 袖の涙に思う ―」 Tzvetana Kristeva 氏(ブルガリア・東京大学客員教授)

〈内容紹介〉
はじめに
『とはずがたり』について
「当たり前」ということを考える
「わが袖の涙言問へ」
日本人の涙について
古代人の「袖」について
王朝びとの袖について
〈身を知る涙〉の跡をたどって
結びにかえて

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