「FUKUOKA UNESCO」8号

1973年12月31日
「FUKUOKA UNESCO」8号 1973年刊行 B5版和文236頁 英文103 2,340円(送料込)

  • 特集 第3回九州国際文化会議 「― アジアにおける日本 ―」

第3回九州国際文化会議

記念講演

“後発効果と日本” Ronald P. Dore 氏(イギリス/サセックス大学教授)

(内容紹介)
アジア各国の発展様式と日本
経済発展の先発と後発
後発効果のメカニズム
教育分野にみる後発効果
教育制度の由来
職業選別の類型と制度
イギリスにおけるエンジニアの変遷
日本における工学士制度
後発国の入職前教育資格の良否
日本の高等教育制度の効果
入職前資格制度の弊害
後進国における学校制度の特色
後発国の教育制度改革
アジア各国にとって日本は手本たりうるか

“魯迅と日本” 竹内 好氏(中国文学者)

“日本の伝統文化と世界文化との相互影響” 
  Serghei A. Aroutiounov 氏(ソ連/科学アカデミー民族学研究所教授)

(内容紹介)
日常の生活文化の観点から
和式文化と洋式文化
和式・洋式の相互浸透
相互影響の規則性の要因
服装について ― 優美さの尺度
外来要素浸透の法則性
相互影響様式の図式化
日本における外来文化摂取の歴史過程

特別寄稿

“明治革命100周年” 故 N. I. Konrad 氏(ソ連/ソビエト科学アカデミー正会員、博士)

*武藤 潔氏翻訳

Aセッション  テーマ 「アジアにおける日本文化 ― その特質をめぐって ―」

“日本の近代化に対する伝統的価値観の影響” Fosco Maraini 氏(イタリア/フィレンツェ大学教授)

(内容紹介)
等質性
学問に対する伝統的尊重
思想の科学的風土に対する理解力
人生への現実的態度と、労働への積極性、競争的精神
社会秩序の安定、協力の習慣
手の技(わざ)の普及

“福澤諭吉による近代日本文明の概念” Jesus G. Valles 氏(スペイン/清泉女子大学教授)

(内容紹介)
1. 学問の新方向
2. 新文明の概念
3. 福沢の思想の意義

“アジアの辺境国文化観 ― 近代への展開期の問題 ―” 色川大吉氏(東京経済大学教授) 

(内容紹介)
1. 最近日本の変潮から
2. “日本文化論”ブームの根拠
3. 研究者の接近方法
4. 辺境島国文化の特徴
5. 問題の限定「島国化」 日本の時代の相対化
6. 民衆思想史の研究現状
7. 創造の源泉としての「場」

Aセッション討議

司会 三上次男氏(東京大学名誉教授)
ディスカッサント Riccardo Amadei 氏(イタリア/東京大学研究生)
Bernard Frank 氏(フランス/日仏会館学長)
内藤莞爾氏(九州大学教授)
(討議の内容紹介)
島国日本文化の特徴
日本の近代化は大化の頃より
神道と日本宗教の特色
福沢諭吉の偶像
ケース・スタディと一般化について
日本近代化と神道
諭吉が受けた影響
深沢村の調査について
日本の雅楽について
日本の革命について
再び、日本近代と神道について
現代日本の内面的精神的空白
天皇制と近代的統一国家

Bセッション テーマ 「アジア諸国と日本をめぐる関係の歴史的背景」

“1926年長崎全アジア会議” Grant K. Goodman 氏(米国/カンサス大学教授)

“日本と清国 ― 威海衛問題(1894~1906)” 
  Ian Nish 氏(イギリス/ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授)

“北伐前後に於ける日中関係 ― 松岡洋右の観点から ―” David Lu 氏(米国/バックネル大学教授)

Bセッション討議

司会 石田 雄氏(東京大学教授)
ディスカッサント Hary Bang 氏(米国/ボール州立大学助教授)
Asok Sircar 氏(インド/上智大学客員教授)
池井 優氏(慶應大学教授)
(討議の内容紹介)
近代日本の外交
ニッシュ教授の発表について
グッドマン教授の発表について
汎アジア主義の二つの路線について
グッドマン先生へ
ニッシュ先生へ
ルー先生に
長崎会議の質問に答える
威海衛問題と日英同盟
田中外交と外務省事務官僚
松岡洋右の中国観
長崎会議への疑問
孫文の大アジア主義との関係如何
中国側からみた松岡洋右
東方会議について
日中正常化について

Cセッション テーマ 「アジアにおけるナショナリズムの諸類型と日本近代化」

“日本の対アジア関係を決定する要因としてのナショナリズム”
  Savitri Vishwanathan 氏(インド/デリー大学講師)

(内容紹介)
徳川時代におけるナショナリズム
西方からの侵略と日本の対応
日本のアジアに対する関係
ナショナリズムと民主主義
敗戦とナショナリズムの後退
新しい富国論
新しい国家使命感
アジアのナショナリズムと日本
結論

“ASEAN各国民族主義の発展段階における地域主義と日本” 
  K. E. Shaw 氏(シンガポール/南洋大学教授)

(内容紹介)
ASEAN各国民族主義の変形と多層的構造
ASEAN地域主義化過程における要因としての日本
文化的文脈における「日本的」な考え方
ASEANの現実と日本
結論・日本のなすべき選択

“明治期のナショナリズムにおける基本形態とその変容” 西尾陽太郎氏(九州大学教授)

Cセッション討議

司会 橋川文三氏(明治大学教授)
ディスカッサント Roger F. Hackett 氏(米国/ミシガン大学教授)
大形孝平氏(インド問題研究家)
Toyomasa Fuse 氏(カナダ/ヨーク大学教授)
(討議の内容紹介)
ナショナリズムの分析
日本ナショナリズムの再評価
日本の短所は長所
理想と現実のギャップ
優越感と劣等感
アジアからの影響
過去と現在の歴史につながりを
優越感について
日本人のあいまいさ
文化的な誇りを進路に
ASEAN中核の新アジア経済協力機構
対アセアン・ブロック外交を
価値観の相互理解を
日本人の行状と売込みの姿勢
大陸主義と欧米諸国
国際社会と社会威信
文化的日本の進路は・・

Dセッション テーマ 「アジア諸国と現在の日本経済 ― 経済協力関係を求めて ―」

“シベリア開発のための日ソ協力” John J. Stephan 氏(米国/ハワイ大学準教授)

“経済的ナショナリズムと日本の将来の安定” Arifin Bey 氏〈インドネシア/“REDA”駐日代表)

“日本の東南アジア経済協力について” 河合良一氏(株式会社小松製作所社長)

Dセッション討議

司会 山本 登氏(慶應大学教授)
ディスカッサント George E. Komarovskii 氏(ソ連/駐日大使館一等書記官)
F. Roy Lockheimer 氏(米国/日本協会副専務理事)
都留大治郎氏(九州大学教授)
(討議の内容紹介)
日ソ経済協力の問題点
日ソの国益とは
ハーマン・カーンの理論について
東南アジア文化の理解を
戦後日本の経済発展のパターン
経済発展には農業問題の解決を
日本と東南アジア経済共同体への疑問
極東情勢とシベリア開発
賠償外交と商売外交
東南アジア文化研究施設を
日本の対アジア援助の将来
日本の現状と将来
日本経済と資源問題
自力による経済建設へ

シンポジウム 「アジアにおける日本」

司会 高橋正雄氏(九州大学名誉教授)
副司会 石田 雄氏
橋川文三氏
山本 登氏
(シンポジウムの内容紹介)
問題の歴史的背景
アジアにおけるナショナリズムの諸類型と日本近代化
アジアと日本経済
日本と日本人
いろいろのナショナリズム
日本の近代化と伝統
神道をめぐって
優越感と劣等感
相互にナショナリズムをどう見たか
連帯意識・疎外感・恐怖感
近代化・ナショナリズム ― 判断の視点
教育と相互理解
司会者としてでなく(高橋文雄氏)

出光佐三店主との軽井沢座談会

出席者 出光佐三氏(出光興産店主)
R・P・ドーア氏(イギリス/サセックス大学教授)
F・マライニー氏(イタリア/フィレンツェ大学教授)
S・アルチュノフ氏(ソ連/科学アカデミー民族学研究所教授)
高橋正雄氏(九州大学名誉教授)
麻生和正氏(出光興産店主室長)
竹藤 寛氏(福岡ユネスコ事務局長)
(内容紹介)
出光の独特な社風を生みだした厳流
創業後10年の苦難を乗り越えて
戦前の出光の歩み
道徳とモラルは違う
ソ連と出光はお互いに相寄り相助けてきた
なぜ資本主義と共産主義とが争わねばならないのか
(質疑応答)
「学問の奴隷になるな」ということについて
愛国心と国際関係について

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