「FUKUOKA UNESCO」26号

1991年12月31日
「FUKUOKA UNESCO」26号 1991年刊行 B5版154頁 1,300円(送料込)

  • 特集 第5回日本研究国際セミナー ’90
    ― 日本の近代文学と芸術 ―(大正期~昭和初期)

第5回日本研究国際セミナー ’90

Aセッション テーマ “白樺派文学と私小説”

発表

“炉辺漫談:この「能面」を観よ ― 志賀文学、小津映画から観た日本的「私」とその他 ―”
夏 剛〔Xia Gang〕氏(中国/京都工芸繊維大学助教授)

(内容紹介)
日本の「私小説」
日本的美意識とは
小動物に対する態度
中国における「日常」の発見
志賀文学を見直す

“有島武郎における解放とメロドラマの問題” William J. Tyler 氏(米国/ハワイ大学客員教授)

(内容紹介)
序・「華の乱」を見て
有島の文学的・思想的系譜
兄弟殺しの烙印
解放家から吸血鬼へ
メロドラマの本質

Aセッション討議

議長 小田切 進氏(立教大学名誉教授)
参加者 上記Aセッション発表者2名、ほか
(討議の内容紹介)
「能面」と「石庭」
有島の可能性と限界
「メロドラマ」の問題
メロドラマと解放
志賀直哉の視線
「私」をどう表現するか
再びメロドラマについて

Bセッション テーマ “白秋と茂吉の歌”

発表

“白秋と朔太郎の詩的世界 ― 空間の内的イメージをめぐって ―” 
  Dominique Palmé 氏(フランス/近代文学研究者)

(内容紹介)
詩について話すことは可能か
『東京景物詩その他』をめぐって
白秋の詩に見るガラスのイメージ
朔太郎の詩を見る
白秋と朔太郎の詩の違いとは

“斎藤茂吉『赤光』と自然 
  Alexander Dolin 氏(ソ連/ソ連科学アカデミー東洋学研究所上級研究員)

(内容紹介)
自己と自然の合同
新時代の古典的歌体
俳句の精神に満ちて

Bセッション討議

司会 本多 浩氏(徳島大学教授)
参加者 上記Bセッション発表者、ほか
(討議の内容紹介)
詩の翻訳について
詩における近代と現代
内部空間と外部空間
日本的伝統の問題
内在化と形而上化
隠喩としての病
フランスにおける白秋
文学理解の現地主義
詩的感動は伝えられるか

Cセッション テーマ “芥川文学と1920年代の美術と文学”

発表

“芥川文学晩年の問題 ― 近代文学と現代文学のはざまで ―” 浅野 洋氏(近畿大学助教授)

(内容紹介)
前期作品の修辞性
「告白」ものの時代
「隠す」ための表現
自己相対化の軌跡

“アバンギャルデスムの史的動態 ― 美と思想と方法 ―” 千葉宣一氏(帯広畜産大学教授)

(内容紹介)
文学の国際交流
前衛芸術の潮流
わが国の未来派受容
神原泰の活躍

Cセッション討議

司会 奥野政元氏(活水女子大学教授)
参加者 上記Cセッション発表者、ほか
(討議の内容紹介)
出自へのこだわり
閉じられた言葉
芥川にとっての「宗教」
精神病理の描写について
「制度」と「内面」
古賀春江と川端
川端の「末期の眼」
芸術は進歩するか
言語の任意性と恣意性

総括討議

議長 小田切 進氏
報告 本田 浩氏(Bセッション)
奥野政元氏(Cセッション)
(総括討議の内容紹介)
有島文学への新視座
前衛派の情報源
三セッションの要約
芥川と有島の関係
『或る女』の時代背景
メロドラマのイメージ
「あなた・私」という関係
白樺派の残したもの
時代区分の問題
破壊から機械美へ
近代と現代を分かつもの
「文化の時代」に寄せて

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