「FUKUOKA UNESCO」31号

1995年12月31日
「FUKUOKA UNESCO」31号 1995年刊行 B5版152頁 1,300円(送料込)

  • 〈特集〉 「第8回日本研究国際セミナー ’94」
    近代への転換期における藤村文学

第8回日本研究国際セミナー’94

基調講演

「藤村といわゆる自然主義」  加藤周一 氏(評論家)

(内容紹介)
自然主義作家の特徴
近代化の果たした役割
オランダ語から英語へ
日本人の宗教観
小説家への道
「ロマンティック」について
日本における「自然主義」の誤訳
人生の真実とは
「私小説」への展開
真実と事実の混同
「言文一致」と自然主義作家の責任
藤村の評価

Aセッション

発表

「島崎藤村と中国文学」 陳 徳文氏(中国/南京大学教授)

「『夜明け前』と歴史的時間」
Michael Bourdaghs氏(アメリカ/コーネル大学博士課程研究生)

(内容紹介)
発表の前に
1.はじめに
2.『破戒』の時間
3.『夜明け前』 今、何時?
4.結論の代わりに、さらなる疑問

Aセッション討議   テーマ “藤村文学について”

議長 奥野政元氏(活水女子大学教授)
ディスカッサント 平岡敏夫氏(群馬県立女子大学学長)
討議参加者 加藤周一氏
上記Aセッション発表者2名
P. Abraham George氏(インド/ネール大学助教授)
Alexander A. Dolin氏(ロシア/東京外国語大学教授)
李国棟氏(中国/広島大学講師)
川本皓嗣氏(東京大学教授)
清水孝純氏(福岡大学教授)
(討議の内容紹介)
北村透谷と藤村
藤村と中国文学
藤村の詩と文学
「飯山民族共同体」への所感
共同体の時間と近代的国家の時間
『夜明け前』について
藤村文学の庶民性
時間の連続性と非連続性について
『破戒』について
『夜明け前』の歴史的意義
時間の概念について
藤村の詩と杜甫の「憂国憂民」
「時間性」をめぐって
藤村文学に見る庶民性
半蔵の発狂について
漢詩の影響
詩と詞について
歴史現象と時間

Bセッション

発表

「藤村の都市論 ― パリ/東京と公園論の位相」 今橋映子氏(筑波大学講師)

(内容紹介)
はじめに
1.現代都市論の動向と藤村
2.フランス滞在の意味
3.都市論者 露伴の「公園」論
4.都市感覚の襞 ― 藤村の「公園」論

「島崎藤村の詩的世界と西洋文化の影響」 Alexander A. Dolin 氏(ロシア/東京外国語大学教授)

Bセッション討議   テーマ “藤村文学に見る日欧比較”

議長 川本皓嗣氏
ディスカッサント 加藤周一氏
討議参加者 上記Bセッション発表者2名
清水孝純氏
Joseph Murphy氏(アメリカ/コーネル大学研究生)
奥野政元氏
Romuald Huszcza氏(ポーランド/ワルシャワ大学助教授)
(討議の内容紹介)
日本と西洋との関係を考える
〈第一の型 岩倉ミッション〉
〈第二の型 永井荷風など〉
〈第三の型 プルーラリズムの視点の獲得〉
藤村のフランス逃避
広場に見る藤村の歴史認識
藤村詩とロマン派
都市からの逃亡
ドイツ・ロマン派の特色
英国人に見る田園と登山
ヨーロッパの個人主義
藤村のフランス体験
藤村のヨーロッパの歴史意識について
露伴の首都論
パリの公園と室内の発見について
ロマン派のオリエントへの逃亡
ナショナリズムとナショナル・アイデンティティ
日本の浪漫派
ヨーロッパのオリエンタリズム

Cセッション

総括討議   テーマ “近代への転換期における藤村文学”

議長 清水孝純氏
コメンテイター William J. Tyler 氏(アメリカ/オハイオ州立大学教授)
中西 進氏(国際日本文化研究センター教授)
討議参加者 加藤周一氏
奥野政元氏
今橋映子氏
Alexander A. Dolin氏
李 国棟氏(中国/広島大学講師)
影山恒男氏(調布学園女子短期大学教授)
P. Abraham George氏(インド/ネール大学助教授)
Michaela Manke氏(ドイツ/西南学院大学講師)

コメント:William J. Tyler 氏(アメリカ/オハイオ州立大学教授)

〈コメントの内容紹介〉
四人の反自然主義作家
藤村との縁
米国人学生に人気の『破戒』
自然主義作家の典型でない藤村
藤村の『新生』について

コメント:中西 進 氏(国際日本文化研究センター教授)

〈コメントの内容紹介〉
陳教授発表の受け止め方
バイロン、透谷に見る勇気の精神から
広場を考える
内なる前近代と〈聖域〉
藤村と四つの戦争
〈総括討議の内容紹介〉
江戸時代を考える
中国、西洋の影響の意味
藤村文学の文体について
『夜明け前』のとらえ方
藤村の外遊とは
藤村から三島由紀夫に通じるもの
文学における内的世界
近代への転換期とアジア人
フィクションの小説から歴史小説へ
日本近代化の特質
藤村文学の位置付け
詩から小説へ
日本に見る浪漫派詩人の特色
アメリカから見た日本文学
藤村文学に見る遺伝の問題
自然主義の散文は時代の発展によるのか

〈特集2〉

(1)福岡ユネスコ文化講演会

「日本文学の翻訳は可能か?」 Irmela Hijiya-Kirschnereit 氏(ドイツ/ベルリン自由大学教授)

〈内容紹介〉
はじめに
日本語の翻訳不可能説
日本文学との距離
日本文学の舞台
日本語の多義性
オリジナルからの訳について
日本の作家の翻訳について
詩の翻訳の場合
〈質疑応答の内容紹介〉
ドイツでの日本の翻訳はどの位なされているか
百人一首の右近の訳され方について
翻訳の背景にある文化的要素
翻訳の幅の広さ
女御の歌を訳するについて
翻訳に難易はあるか

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