「FUKUOKA UNESCO」35号

1999年12月31日
「FUKUOKA UNESCO」35号 1999年刊行 B5版216頁 1,350円(送料込)

  • 〈特集〉 第9回日本研究国際セミナー’98
    ロナルド・ドーア教授の日本研究50年

第9回日本研究国際セミナー’98

基調講演

「変動の激しい半世紀を振り返る」 
ロナルド・ドーア氏(英/元ロンドン大学教授、日本学士院客員)

〈内容紹介〉
「都市の日本人」を書いた頃
国民生活白書あれこれ
家族制度崩壊の戦後
日本時間との訣別
教育制度の変革
教育発展のあり方
社会連帯意識と福祉
良き伝統を大切に、後発効果の再考を

「社会進化・儒教・個人主義 ― ドーアの日本研究50年をふりかえって ―」 
稲上 毅氏(東京大学教授)

〈内容紹介〉
はじめに-日本との邂逅
1. 「進んでいる」日本-江戸時代の教育
社会学への関心
儒教への興味
2. 4つの主題
1 社会研究の方法-偽善を見抜くユーモアの感覚
因果律の探求と偽善へのまなざし
『ミドルタウン』-生活の細部から全体社会を浮き彫りにする
「政治的動物」としての天下国家への関心
ふたつの比較-歴史的分析と国際比較
2 個人化・新しい集合主義・個人主義
個人化とは
個人化と新たな集合主義-『都市の日本人』の慧眼
身分制的秩序の衰退と共同体的結合の強化
個人主義指標からみた日本社会・日本人
なぜ個人主義が弱いのか
個人主義の診断
近未来社会の点描
10年前の見方の妥当性
3 社会進化と社会構造-後発効果と日独型資本主義
後発効果とは
いくつかの補足-重要な原義
後発効果論の展開
後・後発効果-制度的類似性と「意味」の差異
ひとつの課題-早期後発効果と後・後発効果
収斂か-複数資本主義の可能性
日本型資本主義-「従業員のコミュニティー」
いずれが効率的か
ふたつの効率性と「逆転の構図」
ふたつのシナリオ-文化の選択
4 文化的普遍性と社会形成-儒教倫理の功罪
文化的個性のもつ普遍性
文化的特殊性論批判-ふたたび、社会研究の方法について
社会進化と文化的要素-儒教の影響力
学問と教育の重視
公益への貢献と政治的関心
集合体への忠誠心
生産倫理の強調-「従業員のコミュニティー」との連続性
儒教の功罪
むすび

Aセッション

発表

「社会調査史のなかの『都市の日本人』」 佐藤健二氏(東京大学助教授)

〈内容紹介〉
はじめに
ドーア教授の日本研究第一作の検討
日本での実証的社会調査
社会調査の方法論的意志
「都市の日本人」に見る資料の多様性
資料の具体的分析の方法
豊かな折衷主義の可能性
ドーア教授の測定について
掲載資料について
おわりに

「韓国における農地改革 ― 日本と比較して ―」 李萬甲氏(韓国/ソウル大学名誉教授)

〈内容紹介〉
はじめに
韓国農村の社会・文化的特色
農地改革以前の韓国農村の社会経済的様相
農地改革の実施
農地改革の評価

Aセッション討議  テーマ “都市と農村-戦後日本の社会変容”

〈討議の内容紹介〉
韓国の農地改革と官僚
日本の植民地政策
韓国の北との緊張関係
韓国独立の背景を省みる
農地改革の実施へ
韓国社会の近代化への歩み
農地改革への二つの段階
日・韓・台に見る比較の条件違い
小地主の役割について
社会調査のモチベーション
調査とプライバシー
折衷主義と方法論的多元主義
社会調査の方法をめぐって
社会調査にはもっと直感力を
背伸び学問の偽善性
日本的時間
バブルのあとのクラシック
人類全体の平均的な人間を想定して

Bセッション

発表

「講舎と書院 ― 近世日中の儒学と教育 ―」 劉 岸偉氏(中国/東京工業大学助教授)

〈内容紹介〉

  1. 問題提起
  2. 明・清の学校
  3. 階層性社会と教育
  4. 書院と講舎-アンチ功利主義の遺産

「旧制高校に見る日本のエリート教育」 竹内 洋氏(京都大学教授)

〈内容紹介〉
イギリスのパグリックスクールへの興味
歴史としての旧制高校
教養主義とエリート意識
出身階層の断層
旧制高校的なるものの終焉

Bセッション討議  テーマ “日本の教育-江戸時代から現代-”

〈討議の内容紹介〉
はじめに
「書院」を現代に生かすには
旧制高校とは何か
日本教育の方向は
日本における教養主義とは
先生方が目標を与えては如何
韓国の教育問題
マルクス主義も視野に入れて
ロシアとの比較で考える
江戸時代の再考を

Cセッション

発表

「賃金形態と労働意欲:比較史的分析」 尾高煌之介氏(一橋大学教授)

Cセッション討議  テーマ “日本型システムをめぐって”

〈内容紹介〉
はじめに
日本という国の位置は
年功序列の行方は
もっと規制緩和を
日本型システムの虚構性
進歩主義史観の誤り
市場主義論について思う
日本型システムは変容する
労働倫理に見る建前と本音

総括討議

〈総括討議の内容紹介〉
「後発効果」とは
国際比較について
個人主義と集合主義
ドーア教授の日本接近方法
ドーア教授の社会科学者としての態度
ドーア教授の教育観
大衆化時代の教養問題
教育機能の変化と目指すもの
システム化された受験社会
大学における教養とは
教養の本質とは
簡単に崩れない年功賃金制と終身雇用制
私の感想として
日本は大丈夫か
バランスのとれた知識構成
修行のための修行、働くために働く
私はこう思う
閉会にあたって

寄稿

「ドーアさんの日本研究と私」 石田 雄氏(東京大学名誉教授)

特別講演(1)

「グローバル・スタンダードにどこまで従うべきか」
ロナルド・ドーア氏(イギリス/元ロンドン大学教授、日本学士院客員)

〈内容紹介〉
グローバル・スタンダードとは何か
外国企業にとっての魅力ある環境整備
日本のコーポレート・ガバナンスについて
日本の従業員主権制度とアメリカの株主主権制度
株の持ち合い制度
日本の企業内不祥事
透明性重視と株主重視

特別講演(2)

「21世紀へのロシア・日本関係発展の課題と展望」
アレクサンドル・パノフ氏(ロシア/駐日ロシア大使)

〈内容紹介〉
ロ・日関係の現状
ロ・日関係への新要素
相互交流の現状
関係改善の可能性
新しい雰囲気づくりを
三つの構想を

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