「言葉でアジアを描く―現代文学とアジア」を終えて

2017年08月24日

川村湊氏(福岡ユネスコ文化講演会「言葉でアジアを描く―現代文学とアジア」)

「言葉でアジアを描く―現代文学とアジア」のテーマで文芸評論家の川村湊(かわむら・みなと)さんが講演をされました。
戦後書かれた日本語による文学、特に小説について、
1.思い出・郷愁としてのアジア
2.アジアの戦争
3.物語アジア
4.経済成長と歪み
5.越境するアジア
の5つのサブテーマに分けて話しをされました。

また、竹山道雄『ビルマの竪琴』、角田光代『ツリーハウス』、日野啓三『台風の目』、東山彰良『流』などの作品を分析しながら戦後文学とアジアの関係について詳しく語られました。

川村湊氏(福岡ユネスコ文化講演会「言葉でアジアを描く―現代文学とアジア」)

戦後の第一世代が描いた文学は、「帰る」、「逃げる」等の動詞形を使って作品のテーマを言い表せる。ベトナム戦争を描いた時代の作品は「見る」、「考える」等の動詞形で表すことができるというように、作品の細かいところまで読み込んだ内容をひとつの言葉で大掴みに表現して、戦後の文学の推移を話されるなど、興味深い話しぶりに聴衆もすっかり聞き入る1時間半でした。
「福岡アジア文化賞」の選考委員を長く務めた経験から、アジア諸国の文学の概観についても併せて語られました。

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