創造する東アジア-文明・文化・ニヒリズム-

2011年07月09日

想像する東アジア

福岡ユネスコ文化講演会を開催しました。

(講師)京都大学大学院准教授 小倉紀蔵 氏

2011年7月9日(土)、福岡市中央区天神のエルガーラ中ホールにおいて、上記の講演会を行いました。
講師の小倉先生は、現在、京都大学大学院人間・環境学研究科の准教授でいらっしゃいますが、NHKハングル講座の講師としても活躍されていたのでご存知の方も多かったのではないでしょうか。
これから日本が国際的理解を深めていく上で、重要な日中韓の関係。
日中韓の文化・文明論的関係から「東アジア」が安定する基盤は何かを探る講演会でした。

 開催によせて 小倉紀蔵氏より
「東アジアとは何か」ということを考えるには、「文明・文化とは何か」ということから考えなくてはならない。なぜならこの地域の人びとは、単に経済的な利害によって摩擦するというよりは、その文明的・文化的自尊心によって摩擦する傾向が著しく強いからである。
私は、文明とは「世界の分節化」であると定義し、文化とは「文明の自己限定の過程」であると定義する。
このように考えることによって、文明と文化の連続性と違いを認識できるのである。
さて、17世紀から19世紀にいたる時代に中国・朝鮮・日本は、それぞれ自国を文明・文化・ゼロと規定する傾向が強かった。
ここでゼロとは文明からも文化からも遠い地点ということである。このような規定は明らかに権力者やイデオローグたちによる強引な自己錯視なのだが、興味深いことは、このような錯視が行われた時代にだけ、この地域が平和で安定していたという事実である。
この事実を踏まえながら、それでは今日、新しい東アジアの平和と安定と創造性を打ち出すには、どのような考えが必要であるかを論じてみる

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講演会・セミナー活動について

福岡ユネスコ協会は日本研究者の方々をお招きし、様々な催しを開催してきました。 その一つ一つが、内外の研究者の方々の最新の発表と活発な討議を通して世界の目からみた日本の文化、そしてこれからの日本の在り方を示唆するものと高い評価をいただいております。 福岡ユネスコ協会は今後もこうした日本研究の発表の場をつくり、日本の文化を世界に発信する架け橋でありたいと願っています。 これらの会議、セミナー、シンポジウムは一般の方々に公開しております。会議用語は原則として日本語です。 一部外国語を使用する場合にはその旨を事前にご案内し、通訳や日本語資料の参照などで補います。 皆さまのご参加をおまちしております。

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